4WD・スタッドレスは必須?日本の雪国でのレンタカー選び、完全マニュアル

北海道や長野、新潟へのスキー・スノーボード旅行。空港や新幹線の駅からゲレンデまでの「足」として、レンタカーは非常に便利です。 しかし、雪国での運転経験がない人にとって、 「スタッドレスタイヤだけで十分?」 「追加料金を払ってまで、4WD(四輪駆動)にする必要ってある?」 という疑問は、命と安全に関わる最大の悩みどころですよね。

「安いから」と2WD(二輪駆動)の車を予約し、ゲレンデ最後の急坂で立ち往生(スタック)…なんていう最悪の事態は絶対に避けたいもの。

この記事では、雪国でのレンタカー選びの「正解」を、理由とともにお伝えする完全マニュアルです。

目次

結論:「スタッドレス」は必須。「4WD」は保険

まず、結論から。 雪国のレンタカー選びで、この2つの装備はどう考えるべきか。

  • スタッドレスタイヤ(冬タイヤ):
    • これは「100%必須」です。議論の余地はありません。
    • 落とし穴: 北海道や信越(長野・新潟)、東北の営業所では、11月~4月頃は「標準装備」になっていることがほとんどです。
    • ただし! 首都圏(成田・羽田・東京駅)で借りて雪山に向かう場合は「有料オプション」です。これを付け忘れると、文字通り「詰み」ます。予約時に必ず確認してください。
  • 4WD(四輪駆動):
    • 「法律で必須」ではありません。
    • しかし、スキー・スノーボードに行くなら「強く、強く推奨」します。これは「安心と安全を買うための保険」です。

【最重要】スタッドレス(2WD) vs 4WDスタッドレス、何が違う?

「スタッドレスを履いていれば、2WDも4WDも同じように止まれるんでしょ?」 その認識は、半分正解で、半分致命的に間違っています。

「止まる」「曲がる」性能(=タイヤの仕事)

  • ほぼ差はありません。
  • 雪道で「止まる」「曲がる」性能は、主に「スタッドレスタイヤのゴムの質と溝」が担当します。
  • 4WDにしたからといって、2WDより「短く」止まれるわけではないのです。過信は禁物です。

「発進する」「坂を登る」性能(=駆動方式の仕事)

  • ここに「天と地ほどの差」が出ます。
  • 2WD(FF=前輪駆動):
    • 前のタイヤ2本だけで、重い車体全体を雪道で引っ張り上げようとします。
    • 平坦な道なら問題ありませんが、圧雪された「坂道」での発進は非常に苦手。タイヤが空転し始めると、もう登れません。
  • 4WD(四輪駆動):
    • 4つのタイヤすべてに力が伝わります。
    • 前のタイヤが滑っても、後ろのタイヤが押してくれる(またはその逆)ため、雪をしっかり掴んで力強く発進・登坂できます。

【スキー場で起こる最悪のシナリオ】

ゲレンデに到着。しかし、駐車場はゲレンデの下。除雪が甘く、圧雪された「急な坂道」の途中で、他の車がいたので少し停止した。 再び発進しようとアクセルを踏むが、「キュルキュルキュル…」とタイヤが空転するだけ。車は一向に登らず、それどころか、ゆっくりとズリ落ちていく…。

これが、2WDスタッドレスで起こりがちな「スタック(立ち往生)」です。 4WDは、この「スキー場の最後の500m」をクリアするための、最強の保険なのです。

【実践編】雪国でレンタカーを予約する「正しい手順」

失敗しないための、予約時の具体的な手順と確認事項です。

ステップ1:レンタカー会社を選ぶ

基本的には、整備やタイヤの品質管理が安定している大手を選びましょう。

ステップ2:予約時の「必須オプション」をチェック

予約画面で、以下の2点(+保険)を絶対にケチらないでください。

  • ① 4WD(四輪駆動)指定
    • 車種選択の画面で、「4WD確約」や「AWD」と書かれたプランを選びます。
    • 「ヤリス」「フィット」などのコンパクトカーでも、4WDモデルが用意されています。
    • NG例: 「4WD(空き状況による)」というプランは危険です。当日2WDしか残っていない可能性があります。必ず「確約」プランを選びましょう。
  • ② スタッドレス指定
    • 前述の通り、雪国エリアの営業所(新千歳空港、札幌駅、長野駅など)は「標準装備」(無料)としてプランに含まれていることが多いです。予約内容の確認画面で「スタッドレスタイヤ」の記載があるか確認しましょう。
    • 首都圏(成田・羽田など)で借りる場合は、必ず「スタッドレスタイヤ(有料オプション)」を追加してください。
  • ③ 免責補償・NOC補償(保険)
    • 雪道は「自分」が気をつけていても、「他人」からスリップして突っ込まれる「もらい事故」のリスクが平地より高いです。
    • 万が一の事故やスタックで車を動かせなくなった場合、「NOC(ノンオペレーションチャージ=休業補償)」として数万円の支払いが発生します。
    • これも「保険」です。ケチらずに、免責補償とNOC補償がセットになったフルサポートプランに加入することを強く推奨します。

Q&A:雪国レンタカーの「よくある不安」

Q. どの車種を選べばいい?

A. 人数と荷物量で決めましょう。

  • 1〜2名: 「ヤリス」「フィット」などのコンパクトカーの4WDで十分です。
  • 3〜4名(荷物多め): スキーバッグやスーツケースを積むため、「RAV4」「ハリアー」「エクストレイル」などのSUV(4WD)が快適です。

Q. チェーンは必要?

A. 4WDスタッドレスを履いていれば、よほどの「全車チェーン規制」が出ない限り、まず使いません。レンタカー会社は基本的にチェーンを積んでいません(有料オプションの場合あり)。不安なら、「布製チェーン(オートソックなど)」をお守りとして自分で購入し、持参するのは良い選択です。

Q. ワイパーはどうする?

A. 雪国で借りるレンタカーは、冬用の「スノーワイパー」が標準装備されています。 駐車する際は、ワイパーが凍りついて窓に張り付かないよう、必ず「ワイパーを立てておく」のが雪国のマナーです。

まとめ

雪国でのレンタカー選びは「ケチらない」が鉄則です。 数千円の追加料金(4WD代)をケチったせいで、立ち往生してJAFを呼び、数時間のロスと数万円の費用がかかっては、元も子もありません。

① 4WDを「確約」で予約する ② 「スタッドレス」が標準装備かオプションか確認する ③ 「保険(免責・NOC)」はフルで加入する

この3つを守ることが、安全で快適なスキー旅行を成功させる鍵となります。

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この記事を書いた人

世界中のスキー場情報を発信しています。
世界中のスキーリゾートを回り、最高の雪質を求めています。
個人的にはウィスラーが大好き!でも、日本の雪も世界に誇れる最高の雪!

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