Alpenglow Fadeという楽曲について
「Alpenglow Fade」は、雪山でのアクティビティ(スキーやスノーボード)を終えた一日の終わり、夕暮れ時の静寂と充足感を描いた楽曲です。
タイトルにある「Alpenglow(アルペングロー)」とは、日没直前に山頂がバラ色や茜色に染まる美しい現象のこと。歌詞の前半では、リフト(ケーブル)が止まり、賑やかだったゲレンデが静けさに包まれ、白い雪面が淡いピンク色から深い紫色の闇(Violet dusk)へと変わっていく、儚くも美しい「マジックアワー」の情景が鮮やかに描写されています。
重いブーツを脱ぎ、暖炉の火を囲んでグラスを傾ける「アプレ・スキー(滑走後の時間)」のリラックスした空気が漂います。心地よい筋肉の疲労感と、言葉を交わさずとも通じ合う仲間との絆、そして安らぎが表現されています。
この曲の核心はブリッジ部分の「Mono no aware(物の哀れ)」という表現にあります。これは、他の楽曲でも用いた「Aware(気づき)」という意味も持たせ、発音では「気づき」にし、2つの意味を持たせています。雪上に描いたラインが消えゆくことや、夕景が一瞬で終わってしまうことにこそ美しさを見出し、「留まらないからこそ美しいという状態に気づく」という無常観と、大自然への深い畏敬の念が込められています。激動の一日の後に訪れる、大人のための極上のチルアウト・ソングです。
Alpenglow Fade 歌詞(Lyrics)
The cable stops its hum,
the silence starts to creep
The mountain takes a breath,
getting ready for its sleep
Shadows stretch out long,
across the powder field
A gentle closing gate
on everything we feel
The white turns into blushing rose,
a painting in the sky
The sun kisses the peaks,
a soft and sweet goodbye
Alpenglow fade,
slipping through our hands
The day dissolves
like hourglass sands
We chased the wind,
we rode the light
Now the violet dusk
welcomes in the night
Oh, that fleeting pink,
that moment of grace
Written on the mountain’s face,
then erased
Boots heavy on the floor,
release the pressure tight
A fire starts to crackle,
holding back the night
Muscles humming low,
a satisfying pain
We pour the amber glass,
to wash away the strain
No need for spoken words,
the connection is deep
Between the souls awake
and the mountain as it sleeps
Alpenglow fade,
slipping through our hands
The day dissolves
like hourglass sands
We chased the wind,
we rode the light
Now the violet dusk
welcomes in the night
Oh, that fleeting pink,
that moment of grace
Written on the mountain’s face,
then erased
It’s beautiful because it cannot stay
(Mono no aware)
The perfect line we carved just melts away
But in the warmth of embers, glowing red
We keep the memory alive inside our heads
Respect the flow,
(respect the steep)
Thank the frozen gods
for the promises they keep
So let it fade (let it fade)
Let the stars take over now
Rest your weary bones
The mountain knows…
Alpenglow…
Alpenglow…
Gone.
(和訳)
リフトの唸りが止み、
静寂が忍び寄る
山は深く息を吸い込み、
眠りの支度を始める
パウダーの雪原に、
長く伸びていく影
今日感じたすべてを、
優しく閉ざす扉のように
白銀は淡いバラ色へ、
空に描かれた絵画
夕陽が峰に口づけし、
甘く静かなサヨナラを告げる
(消えゆくアルピングロウ(夕映え)、
指の隙間をすり抜けて
一日は砂時計の砂のように、
音もなく溶けていく
風を追いかけ、
光の上を滑り抜けた僕ら
今は紫の夕闇が、
夜を静かに招き入れる
ああ、あの一瞬のピンク、
神の恵みのような輝き
山の表情(かお)に刻まれ、
そしてふっと消されていく
重いブーツを脱ぎ捨て、
締め付けから解き放たれる
暖炉の火がパチパチと爆ぜて、
夜の闇を押し返す
筋肉の心地よい疼き、
満たされた痛み
琥珀色のグラスを傾け、
疲れをゆっくりと溶かす
言葉なんていらない、
絆は深くここにある
目覚めた僕らの魂と、
眠りにつく山との間で
消えゆくアルピングロウ、
指の隙間をすり抜けて
一日は砂時計の砂のように、
音もなく溶けていく
風を追いかけ、
光の上を滑り抜けた僕ら
今は紫の夕闇が、
夜を静かに招き入れる
ああ、あの一瞬のピンク、
神の恵みのような輝き
山の表情(かお)に刻まれ、
そしてふっと消されていく
留まらないからこそ美しい
(もののあわれ)
雪に刻んだ完璧なシュプールも、やがて消えゆく
けれど赤い熾火(おきび)の温もりの中で
その記憶は鮮やかに、僕らの中で生き続ける
流れに敬意を、
(峻厳な大地に祈りを )
約束を果たしてくれた、
凍てつく神々に感謝を捧げよう
だから、今は消えゆくままに(消えゆくままに)
星たちに夜を委ねて
疲れた体を休めよう
山はすべて知っている……
アルピングロウは……
アルピングロウは……
もう、いない
ALBUM「JAPAN SNOW」
ALBUM 「JAPAN SNOW」には以下の全13曲が入っています

