〜氷の壁「ステルヴィオ」とドロミテの絶景、そして日本代表の挑戦〜
2026年2月6日、いよいよミラノ・コルティナダンペッツォ冬季オリンピックが開幕します。 中でも「冬季五輪の花形」と呼ばれるアルペンスキーは、今回、アルプス山脈の聖地とも言える伝説的なコースで開催されます。時速140kmを超えるスピード、極限のターン、そして0.01秒を争うドラマ。
このガイドでは、競技の面白さ、見どころ、そして日本からたった2人選ばれた代表選手など、観戦に役立つ情報を網羅しました。これを読めば、テレビの前での応援が100倍楽しくなるはずです。
舞台は「伝説」の2大コース
今大会の最大の特徴は、男子と女子で会場が大きく離れていることです。それぞれがアルペンスキーの歴史に名を刻む名コースです。
男子会場:ボルミオ「ステルヴィオ(Stelvio)」
「世界で最も過酷で、最も恐ろしい」と言われる難コースです。
- 特徴: スタートからゴールまで息つく暇がありません。コースは北向きで日陰が多く、路面はカチカチの「青氷(ブルーアイス)」と化しています。
- 最大の見せ場「サン・ピエトロのジャンプ」: コース中盤、時速100km以上で崖のような急斜面へ飛び出します。飛距離は40m以上。着地で失敗すれば大事故につながる、まさに命がけのセクションです。選手の太ももは乳酸でパンパンになり、最後は気力だけの勝負になります。

女子会場:コルティナ・ダンペッツォ「オリンピア・デッレ・トファーネ(Olimpia delle Tofane)」
「ドロミテの女王」と呼ばれる、世界で最も美しいコースの一つです。
- 特徴: 巨大な奇岩群をバックに滑り降りる絶景コースですが、美しさとは裏腹に凶暴です。
- 最大の見せ場「トファーナ・シュース」: スタート直後に現れる、最大斜度65%の急な滑り台のようなセクション。ここで一気に加速し、F1マシンのようなスピードで岩の間をすり抜けます。

2. 競技種目と「面白がり方」のポイント
今大会では、伝統的な「個人複合(コンバインド)」がなくなり、新しいチーム戦が始まります。全5種目(男女計10種目)のポイントを解説します。
① ダウンヒル(滑降 / DH)
- これぞアルペンのF1: 最もコースが長く、最もスピードが出ます(時速150km超)。
- 見どころ: 恐怖心との戦いです。選手がスタート前に集中する表情、そしてゴールした瞬間に見せる安堵の表情に注目してください。「最もクレイジーな選手」が勝つ種目です。
② スーパーG(スーパー大回転 / SG)
- 野生の勘が試される: ダウンヒルに近いスピードですが、カーブの要素が強くなります。
- 面白いところ: ダウンヒルと違い、事前の練習滑走(トレーニングラン)が一度もできません。当日の朝、一度だけ下見をしただけで、ぶっつけ本番で滑ります。瞬時の判断力と対応力が勝敗を分けます。
③ ジャイアントスラローム(大回転 / GS)
- 基本にして奥義: 中高速でダイナミックなターンを繰り返します。
- 見どころ: 遠心力との戦いです。ターン後半、スキー板がたわみ、雪面を削る「ガリガリッ」という音が聞こえます。最もリズム感が求められる種目で、見ていて一番気持ちが良いターンが見られます。
④ スラローム(回転 / SL)
- 雪上の格闘技: 細かいポールをなぎ倒しながら最短距離を滑ります。
- 面白いところ: まるで忍者のような身のこなしです。ポールを「バチン!」と叩く音の迫力、そして0.01秒で順位が入れ替わるスリルは、最後まで目が離せません。
⑤ 【新種目】チーム・コンバインド(Team Combined)
- 今回から採用: これまでの「1人で2種目」ではなく、「2人で1チーム」を組みます。
- ルール: 「ダウンヒル担当(スピード系)」と「スラローム担当(技術系)」がそれぞれ1本ずつ滑り、合計タイムを競います。
- 戦略: 国の総合力が問われます。オーストリアやスイスのような選手層の厚い国が有利ですが、一発逆転のドラマも生まれやすい形式です。
日本代表「TEAM JAPAN」選手プロフィール
今大会、日本に与えられたアルペンスキーの出場枠は、非常に厳しい戦いの末、男女各1名のみとなりました。この狭き門を勝ち抜いた2人の日本代表選手を紹介します。
男子代表:相原 史郎(Shiro Aihara)
- 出場予定種目: スラローム(SL)
- 所属: 東海大学
- ここがスゴい:次世代のエースとして期待されてきた若きテクニシャンです。2025/26シーズンのファーイーストカップ(FEC)や国際大会での安定した成績が評価され、ついにたった1つの男子出場枠を勝ち取りました。彼の滑りは「キレ」が持ち味。世界トップの選手たちが集う難コースで、日本の技術がどこまで通用するか。上位進出(トップ15〜20)を狙えるポテンシャルを秘めています。
- 公式データ🙁FISデータ)
女子代表:安藤 麻(Asa Ando)
- 出場予定種目: スラローム(SL)
- 所属: 日清医療食品
- ここがスゴい:3大会連続出場となる日本の絶対的エースです。平昌、北京と世界の壁に挑み続けてきました。2026年1月20日に正式に代表内定。硬いバーン(アイスバーン)に強く、難易度の高いコースほど実力を発揮するタイプです。豊富な経験を武器に、日本女子アルペン悲願の上位入賞を目指します。
- 公式データ🙁FISデータ)
4. 世界の注目スーパースターたち
金メダル争いの中心となる、この3人だけは覚えておいてください。
リンゼイ・ボン(Lindsey Vonn / アメリカ)
- 種目: ダウンヒル、スーパーG
- ドラマ: まさに「生きる伝説」。一度引退しましたが、人工膝関節の手術を経て、41歳にして奇跡の現役復帰を果たしました。
- 最新状況: 五輪直前の1月30日、W杯クランモンタナ大会で転倒し膝を痛めましたが、「オリンピックの夢は終わっていない」と宣言。彼女がスタート台に立つこと自体が、今大会最大のハイライトになるでしょう。
- プロフィール:(FISデータ)
マルコ・オデルマット(Marco Odermatt / スイス)
- 種目: ダウンヒル、スーパーG、ジャイアントスラローム
- 特徴: 「現役最強」のスキーヤー。どんな体勢からでも立て直す驚異的なバランス能力を持ちます。彼が滑れば金メダル確実と言われるほどの圧倒的王者です。
- プロフィール:(FISデータ)
ミカエラ・シフリン(Mikaela Shiffrin / アメリカ)
- 種目: スラローム、ジャイアントスラローム
- 特徴: 男女通じてW杯史上最多勝記録を持つ「女王」。正確無比なテクニックは教科書そのもの。今大会が集大成となる可能性があります。
- プロフィール:(FISデータ)
5. 観戦スケジュール(日本時間での目安)
イタリアとの時差は8時間(日本が進んでいる)です。多くのレースは日本の夕方から夜にかけて行われるため、比較的観戦しやすい時間帯です。
※このリストは競技の開始時間で日本で放送されるスケジュールではありません。
| 日付 (2026) | 現地時間 | 日本時間(目安) | 種目 | 会場 |
| 2/6 (金) | 20:00 | 翌04:00 | 開会式 | ミラノ |
| 2/7 (土) | 11:30 | 19:30 | 男子 ダウンヒル | ボルミオ |
| 2/8 (日) | 11:30 | 19:30 | 女子 ダウンヒル | コルティナ |
| 2/9 (月) | 10:30 | 18:30 | 男子 チーム・コンバインド | ボルミオ |
| 2/10 (火) | 10:30 | 18:30 | 女子 チーム・コンバインド | コルティナ |
| 2/11 (水) | 11:30 | 19:30 | 男子 スーパーG | ボルミオ |
| 2/12 (木) | 11:30 | 19:30 | 女子 スーパーG | コルティナ |
| 2/14 (土) | 10:00 | 18:00 | 男子 ジャイアントスラローム | ボルミオ |
| 2/15 (日) | 10:00 | 18:00 | 女子 ジャイアントスラローム | コルティナ |
| 2/16 (月) | 10:00 | 18:00 | 男子 スラローム | ボルミオ |
| 2/18 (水) | 10:00 | 18:00 | 女子 スラローム | コルティナ |
※ 男子スラローム(2/16)と女子スラローム(2/18)が、相原選手・安藤選手が登場する日本チーム最大の山場です。お見逃しなく!
ここを楽しもう!
ミラノ・コルティナ2026のアルペンスキーは、美しい景色と過酷なコース、そして人間の限界に挑むアスリートたちのドラマが詰まっています。
- スピード感: テレビ画面越しでも伝わる「速さ」と「振動」。
- 音: 氷を削る音、ポールを弾く音。
- 日本代表の挑戦: たった2人で世界に挑む相原選手と安藤選手の勇姿。
2月、イタリアの雪山で生まれる新たな伝説を、ぜひ一緒に目撃しましょう!
アルペンスキーを見ながらこの曲を聞こう!


