-20℃でも寒くない!プロが教えるスキーウェアの「レイヤリング」完全攻略法

極上のパウダースノー。どこまでも続く青い空。 最高のコンディションのはずなのに、「寒すぎて」楽しめない…。 それどころか、お昼を過ぎると「汗で濡れた肌着が冷えて、体の芯から凍えてくる」…。

そんな最悪の経験はありませんか?

「寒いから」と、スキーウェアの下に「厚手のスウェットパーカー」や「コットンのTシャツ」を何枚も着込む。 実はそれ、寒くなるためにやっている最悪のNG行動です。

スキー・スノーボードの快適さは、アウターウェア(外側のジャケット)の価格や厚さではなく、「何を着て、どう重ねるか」という「レイヤリング(重ね着)」の技術で9割決まります。

この記事では、-20℃の極寒でも快適に過ごすための、プロが実践する「3層レイヤリング」の完全攻略法を、素材の選び方から徹底的に解説します!

目次

なぜ寒い? あなたが犯している「最大のNG」とは

ゲレンデで寒くなる最大の原因は、「汗冷え(あせびえ)」です。 そして、その汗冷えを引き起こす最大の敵が「綿(コットン)」素材です。

  • NGな重ね着の例:
    • 肌着: コットンのTシャツ
    • 中間着: コットンのスウェットパーカー
    • アウター: スキーウェア

なぜ綿(コットン)がダメなのか? 綿は、汗(水分)を吸うと、全く乾きません。 滑っている最中にかいた汗で湿ったTシャツやパーカーが、リフトに乗っている間に外気で冷やされ、氷のように冷たい「濡れ雑巾」となって体に張り付きます。これが「汗冷え」です。 これでは、どんなに高価なアウターを着ていても、体の内側から体温を奪われ続け、凍えるしかありません。

プロの常識「3層レイヤリング」とは?

-20℃でも快適なプロは、「厚着」をしているのではありません。「機能的な薄着」を重ねています。 この考え方を「3層レイヤリング」と呼びます。

  1. ベースレイヤー(肌着): 汗を「吸い取り、素早く乾かす」層
  2. ミッドレイヤー(中間着): 体温の「熱を蓄える」層
  3. アウターレイヤー(ウェア): 雪や風を「防ぐ」層

この3つの層がそれぞれ正しく機能して、初めて快適さが生まれます。 「寒いから」とミッドレイヤー(2層目)ばかり厚くしても、ベースレイヤー(1層目)がコットンのままでは、汗冷えで全てが台無しになるのです。

レイヤー1:ベースレイヤー(肌着)攻略

  • 役割: 肌に直接触れ、「汗を素早く吸い上げ、肌から遠ざけ、拡散させて乾かす」(吸汗速乾)。「保温」はその次の機能です。
  • NG素材: 綿(コットン)
  • OK素材:
    1. 化学繊維(ポリエステル、ポリプロピレンなど):
      • 特徴: 速乾性が非常に高い。安価で高性能なモデルが多い。スポーツ用インナーの主流。
      • おすすめ: ユニクロの「ヒートテック」は安価ですが、実は「吸湿発熱系(汗を熱に変える)」なので、汗をかきすぎると乾くのが追いつかない場合があります。ゲレンデで使うなら、スポーツブランドやアウトドアブランドの「ポリエステル100%」の速乾モデルが最適です。
      • 定番ブランド: モンベル (mont-bell) の「ジオライン」は、速乾性と保温性のバランスが完璧で、価格も手頃。スキーヤーの定番品です。
      • モンベル公式サイト

    2. メリノウール(天然素材):
      • 特徴: 究極のベースレイヤー。汗を吸っても冷たくなりにくく(濡れ冷えしにくい)、天然の「防臭効果」で数日間着ても臭くなりません。その分、価格は高め。
      • 定番ブランド: icebreaker (アイスブレイカー)Smartwool (スマートウール) が有名です。
      • icebreaker公式サイト

【プロの選択】 -20℃レベルの極寒地では、速乾性(ジオライン)よりも保温・濡れ冷え防止(メリノウール)が勝るため、「中厚手(ミッドウェイト)以上のメリノウール」を選ぶ人が多いです。

レイヤー2:ミッドレイヤー(中間着)攻略

  • 役割: ベースレイヤーが発散した蒸気を逃しつつ、「体温で温められた空気を蓄える」(保温)。ここが「暖かさ」の核となる層です。
  • NG素材: 綿のスウェットパーカー(重い、乾かない)
  • OK素材:
    1. フリース:
      • 特徴: 最もスタンダードなミッドレイヤー。軽くて暖かく、通気性が高いため蒸れにくい。濡れても乾きが早い。
      • 定番ブランド: ユニクロの「フリースフルジップジャケット」は、安価ながら驚くほど高性能で、これで十分という人も多いです。より薄手で動きやすい高性能フリースなら、パタゴニアの「R1」「R2」シリーズがプロに人気です。
      • ユニクロ(フリース)

    2. 化繊インサレーション(化学繊維の中綿):
      • 特徴: いわゆる「薄手のダウン」に見えるジャケット。本物のダウン(羽毛)より「濡れに強い」のが特徴。汗や湿気で濡れても保温性が落ちにくいため、運動量が多いスキー・スノボに最適。
      • 定番ブランド: パタゴニアの「ナノ・パフ」やアークテリクスの「アトム ジャケット」が代表格。これ1枚でフリース以上の保温性があります。
      • パタゴニア公式サイト

【プロの選択】 天候に合わせて「薄手のフリース」と「化繊インサレーション」を使い分けます。 -20℃の日は、「メリノウール(ベース)+ 化繊インサレーション(ミッド)」という組み合わせが、軽量かつ最強の保温性を発揮します。

レイヤー3:アウターレイヤー(スキーウェア)

  • 役割: 雪、風、雨などの「外的要因を完全にブロックする」(防水・防風)。同時に、内側の「蒸れ(湿気)を外に逃がす」(透湿)。
  • OK素材: GORE-TEX(ゴアテックス)に代表される「防水透湿素材」。
  • ポイント:
    • 最近のトレンドは、アウター自体には保温性(中綿)を持たせず、防水・防風・透湿機能に特化した「シェル(殻)」と呼ばれる薄いウェアです。
    • なぜなら、保温性(暖かさ)はミッドレイヤー(2層目)で自由に調整するからです。
    • これにより、春の暑い日は「ベース+シェル」、極寒の日は「ベース+ミッド+シェル」と、1着のウェアで全シーズン対応できるようになります。
  • 定番ブランド:Burton (バートン) の [ak] シリーズや、Goldwin (ゴールドウイン) など、多くのハイエンドモデルがGORE-TEXを採用しています。

まとめ:-20℃でも寒くない「最強の組み合わせ」

「寒い」からと闇雲に着込むのではなく、3つの層の「役割」を理解することが、快適さへの第一歩です。

  • ベースレイヤー(肌着): 汗を乾かす(×綿、◎メリノウール or 化繊)
  • ミッドレイヤー(中間着): 熱を蓄える(×スウェット、◎フリース or 化繊インサレーション)
  • アウターレイヤー(ウェア): 風雪を防ぐ(◎GORE-TEXなどのシェル)

-20℃の極寒日に挑戦するなら、 「厚手のメリノウール(ベース)」+「化繊インサレーション(ミッド)」+「GORE-TEXシェル(アウター)」 この組み合わせを試してみてください。

高価なアウタージャケットを買い替える前に、まずは「コットンの肌着」を「高性能なベースレイヤー」に替えること。 それこそが、あなたのスキーライフを劇的に変える、最も賢い投資です。

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この記事を書いた人

世界中のスキー場情報を発信しています。
世界中のスキーリゾートを回り、最高の雪質を求めています。
個人的にはウィスラーが大好き!でも、日本の雪も世界に誇れる最高の雪!

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