自宅でできる!スキー・スノーボードの簡単ワックスがけ講座

スキーやスノーボードの楽しさを左右する重要な要素の一つが「滑走性」。板がよく滑らないと、操作が難しくなったり、疲れやすくなったりします。

その滑走性を維持し、大切な板を長持ちさせるために欠かせないのが「ワックスがけ」です。

「お店に出すとお金がかかる…」「自分でやるのは難そう…」と思っていませんか?

実は、基本的なワックスがけ(ホットワックス)は、自宅でも意外と簡単にできるんです。この記事では、初心者の方でも安心して挑戦できるよう、ワックスがけの基本をステップバイステップで解説します。

目次

まずはじめに。なぜワックスがけが必要なの?

ワックスがけは、単に「滑りを良くする」ためだけではありません。大きく分けて、以下の2つの重要な役割があります。

① 滑走性の向上(よく滑る!)

ワックスは、板の滑走面(ソール)と雪面の間の摩擦を減らす潤滑剤の役割を果たします。

  • スピードと操作性の向上: 摩擦が減ることで、スムーズに滑走でき、ターンなどの操作も軽快になります。
  • 疲れにくくなる: 無駄な力がいらなくなるため、長時間のライディングでも疲れにくくなります。

② 滑走面の保護(板が長持ち!)

スキーやスノーボードの滑走面は、実は目に見えない無数の細かい穴(ポア)が空いています。

  • 酸化(白くなる)の防止: 滑走面が乾燥し、空気に触れ続けると「酸化」が起こり、白く毛羽立った状態になります。こうなるとワックスが浸透しにくくなり、滑走性が著しく低下します。ワックスを浸透させることで、この酸化を防ぎます。
  • 汚れや傷からの保護: ワックスの層が、雪面の細かな汚れや小さな傷から滑走面を守るバリアの役割も果たします。

ワックスがけは、言わば「板のスキンケア」。大切な道具を良い状態で長く使うためにも、欠かせないメンテナンスなのです。

ワックスがけに必要な道具を揃えよう

自宅で「ホットワックス」に挑戦するために、まずは基本の道具を揃えましょう。一度揃えれば長く使えるものがほとんどです。

【最低限必要なもの(ホットワックス用)】

  1. ワックス(固形)
    • まずは「オールラウンド(全雪温対応)」タイプが一つあればOKです。
  2. ワキシングアイロン
    • ワックスを溶かして塗るための専用アイロン。
  3. スクレーパー(プラスチック製)
    • 余分なワックスを剥がし取るためのヘラ。
  4. ブラシ
    • 仕上げるためのブラシ。まずは「ナイロンブラシ」が1本あれば十分です。
  5. クリーナー(リムーバー)
    • 汚れや古いワックスを落とす専用液体。

【あると便利なもの】

  • ワクシングスタンド(バイス)
  • ワキシングペーパー
  • 新聞紙やビニールシート

【おすすめワックス&ツール紹介】

何を選んだら良いか分からない、という方のために、まずは揃えたい定番のアイテムをいくつかご紹介します。

1. ワックスセット(初心者向け) これから一式揃えるなら、必要な道具がまとまったセットが最も手軽でコストパフォーマンスにも優れています。

  • 商品タイトル: GALLIUM(ガリウム) ホットワックス トライアル ワクシングセット
  • 説明: ホットワックスに必要なものがコンパクトに詰まった、日本が誇るワックスブランド「ガリウム」の入門セット。アイロン、ミニサイズのワックス(オールラウンド)、スクレーパー、ナイロンブラシ、ペーパー、リムーバーが専用ケースに入っており、これ一つで基本的なメンテナンスが始められます。

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  • オールラウンド対応のガリウム配合スプレーワックス”GENERAL G100″とミニクリーナーのトラベルセット♪
  • 充実の内容で、いつでもどこでも、これさえあればOK!いつでもどこでも簡単にワクシングできます。
  • ワックスをしたことがない初心者の方にもオススメのセット。

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2. 固形ワックス(オールラウンド) セットのワックスがなくなったら、まずはこれを買い足しましょう。

  • 商品タイトル: DOMINATOR(ドミネーター) RENEW(リニュー)
  • 説明: 「ベースワックス(下地作り)」と「滑走ワックス(仕上げ)」の両方の役割を兼ね備えた、非常に優れたオールラウンドワックス。これ一つでクリーニング効果と高い滑走性、持続性が得られます。アイロン温度が低め(90℃~100℃)なのも初心者には安心です。

3. ワキシングアイロン(単品) セットではなく単品で揃える場合、アイロンは信頼できるメーカーのものを選びましょう。

  • 商品タイトル: TOKO(トコ) スキー スノーボード用 ワキシングアイロン T8
  • 説明: スイスの老舗ワックスメーカー「トコ」の定番モデル。温度調節がダイヤル式で分かりやすく、コンパクトながら十分な熱量と安定性を備えています。底面のプレートも厚く、滑走面を焦がしにくい設計です。

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  • 消費電力: 800W 100V
  • 設定温度100~160℃
  • 保証書・説明書付属

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4. 簡易ワックス(滑走直前用) ゲレンデに持っていくと便利な、塗るだけの簡易ワックスです。

  • 商品タイトル: MATSUMOTOWAX(マツモトワックス)ANT BB(アンチビービー)
  • 説明: 非常に高い滑走性と持続性を誇るペースト状のワックス。特に春先の汚れた雪(黄砂や花粉など)で効果を発揮します。コンパクトで持ち運びやすく、付属のスポンジで塗るだけなので、リフト待ちの時間でも手軽に塗布できます。

(※購入時期によりリンク切れや価格変動がある場合があります)

実践!ワックスがけの手順(ホットワックス編)

道具が揃ったら、いよいよ実践です。以下のステップで進めましょう。

STEP 1:クリーニング(汚れ落とし)

まずは滑走面をキレイにします。古いワックスや雪面の汚れが残っていると、新しいワックスがうまく浸透しません。

  1. (あれば)ブロンズブラシなどで、大まかな汚れをかき出します。
  2. クリーナー(リムーバー)をキッチンペーパーなどに染み込ませ、滑走面全体を拭き上げます。
  3. クリーナーが完全に乾くまで待ちます。

※クリーナーを使いすぎると滑走面が乾燥しすぎるため、普段のメンテナンスでは「ブラシで汚れを落とす」程度にし、シーズン終わりやひどい汚れの時だけ使うのがおすすめです。

STEP 2:ワックスを塗る(アイロンがけ)

アイロンを使ってワックスを溶かし、滑走面に染み込ませます。

  1. アイロンをワックス指定の温度(パッケージに記載)に設定します。
  2. アイロンに固形ワックスを当てて溶かし、滑走面全体にポタポタと垂らします。
  3. アイロンを滑走面に直接(またはワキシングペーパーを介して)当て、垂らしたワックスを伸ばしていきます。
  4. 【重要】アイロンは絶対に止めないでください! 同じ場所に当て続けると、滑走面が熱で変形したり焦げたりする原因になります。常にゆっくりと動かしながら、ワックスを均一に伸ばします。

STEP 3:冷まして固める(浸透)

ワックスを塗ったら、板を室温でしっかりと冷まします。

  • 最低でも30分~1時間、できれば数時間~一晩置くのがベストです。
  • この冷ます過程で、溶けたワックスが滑走面の奥深くまで浸透していきます。焦って次の工程に進まないようにしましょう。

STEP 4:スクレーピング(ワックスを剥がす)

ワックスが完全に冷えて固まったら、滑走面の表面に残った余分なワックスを剥がしていきます。

  1. プラスチック製のスクレーパーを使い、板の先端(ノーズ)から末端(テール)に向かって、一定方向に押し出すように削っていきます。
  2. 「もったいない」と思うかもしれませんが、表面のワックスは滑走の抵抗になるだけ。必要なのは「滑走面に染み込んだワックス」です。
  3. 表面のワックスがほぼなくなるまで、しっかりと削り取ります。

STEP 5:ブラッシング(仕上げ)

最後の仕上げです。滑走面にある目に見えない細かい溝(ストラクチャー)に残ったワックスをかき出します。

  1. ナイロンブラシを、スクレーパーと同じくノーズからテールに向かってかけます。
  2. 最初は少し力を入れて、徐々に軽い力でブラッシングしていきます。
  3. 滑走面にツヤが出て、削りカスが出なくなったら完了のサインです。

もっと手軽に!「簡易ワックス」という選択

「ホットワックスはやっぱり面倒…」「滑る直前に手軽に済ませたい!」という方には、「簡易ワックス」もあります。

  • 種類: 液体(リキッド)タイプ、ペーストタイプ、スプレータイプなどがあります。
  • メリット:
    • アイロンなどの道具が不要。
    • 塗って乾かす(または拭き取る)だけなので、数分で完了する。
    • ゲレンデの駐車場などでも手軽に使える。
  • デメリット:
    • ホットワックスに比べて持続性が低い(半日~1日程度)。
    • 滑走面への浸透が浅いため、板の保護効果はホットワックスに劣る。

使い分けのおすすめ: 普段のベース作りは「ホットワックス」で行い、ゲレンデでの滑走性アップや、ホットワックスの合間の「つなぎ」として「簡易ワックス」を使うのが最も効果的です。

よくある質問 (Q&A)

Q. どのくらいの頻度でやればいい?
A. 滑走日数によりますが、理想は「3~5回滑ったら1回」のホットワックスです。少なくとも、滑走面が白っぽく毛羽立ってきたら(酸化のサイン)、必ず行いましょう。

Q. シーズンオフの保管はどうすればいい?
A. シーズンが終わったら、クリーニングをした後、ホットワックスを「剥がさない状態」で保管するのがベストです。ワックスの膜が滑走面を酸化やホコリから守ってくれます。

Q. 新品の板でもワックスは必要?
A. 必要です。新品の板にも保護用のワックス(または酸化防止剤)が塗られていますが、滑走用のワックスではありません。滑る前に一度クリーニングし、しっかりとホットワックスをかける(できれば数回)ことで、ワックスが染み込みやすい「滑る板」に育っていきます。

まとめ

ワックスがけは、スキー・スノーボードのパフォーマンスを最大限に引き出し、道具を長持ちさせるための最も重要なメンテナンスです。

最初は少し難しく感じるかもしれませんが、手順を覚えてしまえば誰でも自宅でできます。自分でメンテナンスした板がゲレンデで驚くほど滑ると、楽しさも愛着も倍増しますよ。

ぜひこの冬、自宅でのワックスがけに挑戦して、快適なスノーライフを手に入れてください!

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この記事を書いた人

世界中のスキー場情報を発信しています。
世界中のスキーリゾートを回り、最高の雪質を求めています。
個人的にはウィスラーが大好き!でも、日本の雪も世界に誇れる最高の雪!

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