ミラノ・コルティナ2026オリンピック:スノーボード全競技徹底ガイド

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目次

大会概要とスノーボード競技の舞台

2.1 開催地:リヴィニョ(Livigno)~フリースタイルの新たな聖地~

ミラノ・コルティナ2026は、オリンピック史上最も広範囲に会場が分散する大会として知られています。ミラノの都市部と、ドロミテ山塊のコルティナ・ダンペッツォ、そしてその他の山岳エリアが連携して開催されますが、スノーボード競技とフリースタイルスキー競技の舞台として選ばれたのは、ロンバルディア州の最北端、スイス国境に接するリヴィニョ(Livigno)です 。

リヴィニョ・スノーパーク(Livigno Snow Park)の特徴

リヴィニョは「小チベット」とも称される標高の高さ(約1,800m~)と、寒冷な気候が生み出す上質なパウダースノーで知られる世界的なスキーリゾートです。今回のオリンピックのために、「リヴィニョ・スノーパーク」と「リヴィニョ・エアリアル&モーグルパーク」が整備され、世界最高峰の競技環境が整えられました

この会場の最大の特徴は、その革新的なレイアウトにあります。

  • 集中型デザイン: ハーフパイプ、スロープスタイル、ビッグエア、スノーボードクロス、パラレル大回転という異なる5つの競技エリアが、1つの巨大な「フィニッシュエリア(ゴール地点)」に収束するように設計されています 。これにより、現地の観客は場所を移動することなく、複数の競技を同時に、あるいは連続して観戦することが可能となりました。これはオリンピック史上初の試みであり、会場の一体感と熱狂を極限まで高める演出となるでしょう。
  • 巨大ビッグエア: 特に注目すべきはビッグエアのジャンプ台です。高さ50メートルを超える巨大な構造物が設置され、夜間にはライトアップされた中で競技が行われます 。漆黒の闇に浮かび上がる白いスロープと、そこで繰り広げられる人間離れした空中技の数々は、今大会のハイライトシーンとなること間違いありません。
  • 標高と雪質: リヴィニョの高い標高は、雪質の良さを保証する一方で、選手にとっては酸素の薄さや寒さとの戦いも意味します。特に持久力が必要なスノーボードクロスや、ハーフパイプでの連続エアにおいては、高地順応も含めたコンディション調整が勝敗を分ける鍵となるかもしれません。

2.2 競技日程(スケジュール)

スノーボード競技は、開会式(2月6日)の前日である2月5日から予選がスタートし、閉会式直前の2月18日まで、ほぼ毎日熱戦が繰り広げられます。日本と開催地イタリア(冬季標準時)の時差は「マイナス8時間」です。つまり、現地の夜に行われる決勝種目は、日本時間では翌日の未明から早朝にかけての時間帯となります

ファンにとっては寝不足必至のスケジュールとなりますが、リアルタイムで歴史的瞬間を目撃するためには、事前のスケジュール把握が不可欠です。以下に、主要種目の日程をまとめました。

表1:ミラノ・コルティナ2026 スノーボード競技日程(抜粋)

現地日付曜日日本時間 (目安)競技種目ステージ注目ポイント
2月5日2月5日 18:30男子ビッグエア予選開会式前に競技開始。長谷川・荻原ら登場
2月7日2月8日 03:25男子ビッグエア決勝最初のメダル決定戦。日本勢表彰台独占なるか
2月8日2月8日 17:00男女パラレル大回転予選三木つばき、竹内智香が登場
2月8日2月8日 21:00男女パラレル大回転決勝アルペン種目の頂上決戦
2月8日2月8日 19:30女子ビッグエア予選村瀬心椛らの超高難度技に注目
2月9日2月10日 03:25女子ビッグエア決勝女子初のトリプルコークが飛び出すか
2月11日2月11日 18:25女子ハーフパイプ予選小野光希、冨田せならが登場
2月11日2月12日 03:00男子ハーフパイプ予選平野歩夢、戸塚優斗ら最強布陣が登場
2月12日2月13日 03:25女子ハーフパイプ決勝日本女子悲願の金メダルへ
2月12日2月12日 18:00男子スノーボードクロス予選~決勝雪上の格闘技、最速決定戦
2月13日2月14日 03:25男子ハーフパイプ決勝大会最大のハイライト。人類最高峰の空中戦
2月13日2月13日 18:00女子スノーボードクロス予選~決勝女子ライダーたちの激しいバトル
2月15日2月15日 13:45混合団体スノーボードクロス決勝男女ペアで挑むチーム戦
2月16日2月16日 17:53男女スロープスタイル予選ジブとジャンプの総合力勝負
2月17日2月17日 20:00女子スロープスタイル決勝スタイルと難易度の融合
2月18日2月18日 20:00男子スロープスタイル決勝スノーボード競技のフィナーレ

※時間は変更される可能性があります。特に屋外競技は天候による順延が頻繁に起こるため、大会期間中は公式サイトやニュースでの確認が推奨されます。

>>ミラノ・コルティナオリンピック2026TV放送一覧


日本代表「SNOW JAPAN」内定選手・全リスト

全日本スキー連盟(SAJ)の選考基準をクリアし、ミラノ・コルティナ2026への切符を掴んだ日本代表選手(内定者)は以下の通りです。今大会、日本はスノーボードクロスを除く全種目に選手を派遣し、総勢19名(男子9名、女子10名)の精鋭たちが世界に挑みます

特記事項: スノーボードクロス種目については、今回の内定者リストに含まれていません。これは近年のワールドカップにおける出場枠獲得状況や、連盟の強化戦略に基づく派遣基準によるものと考えられます

以下、各競技種目ごとに、詳細な解説と選手プロフィールを紹介していきます。

ハーフパイプ(Halfpipe):王国の誇りをかけた頂上決戦

競技解説:進化し続ける「縦回転」の時代

ハーフパイプは、円筒を半分に切ったような形状のコース(パイプ)を左右に滑り上がり、空中に飛び出して技(エア)を行う採点競技です。

  • コーススペック: オリンピックで使用されるのは「スーパーパイプ」と呼ばれる規格で、壁の高さは約6.7メートル(22フィート)、全長は約170~200メートルにも及びます 。ビルの3階建て相当の高さからさらに空中に飛び出すため、最高到達点は地上10メートル近くに達します。
  • 採点基準: 6名のジャッジが採点し、最高点と最低点を除いた4名の平均が得点となります(100点満点)。評価のポイントは、アンプリチュード(高さ)ディフィカルト(難易度)バラエティ(技の多彩さ)エクスキューション(完成度)、そして近年重要視される**プログレッション(革新性)**です 。
  • 現在のトレンド:
    • 男子: 北京五輪で平野歩夢選手が成功させた「トリプルコーク1440(縦3回転横4回転)」が、今やトップ争いの必須条件となりつつあります。さらに回転数は増し、スイッチ(逆足)からの超高難度技や、ルーティン全体の構成力が問われる時代に入りました 。
    • 女子: 女子も高回転化が進み、「1080(3回転)」から「1260(3回転半)」、さらにはトリプルコークへの挑戦が始まっています。高さとスタイルを兼ね備えた滑りが評価される傾向にあります 。

男子ハーフパイプ日本代表:世界最強の布陣

男子ハーフパイプは、日本が世界で最も層の厚い「お家芸」です。表彰台独占も夢ではない、最強の4名が選出されました。

平野 歩夢 (Ayumu Hirano)

  • 年齢: 27歳
  • 出身: 新潟県村上市
  • オリンピック歴: 4大会連続(2014ソチ銀、2018平昌銀、2022北京金)
  • プロフィールと見どころ: スノーボード界のリビングレジェンド。15歳でソチ五輪銀メダリストとなり、前回の北京五輪では、人類史上最高難度と言われた「トリプルコーク1440」をルーティンに組み込み、劇的な逆転劇で悲願の金メダルを獲得しました。その後、スケートボードで東京五輪にも出場した「二刀流」アスリートとしても知られます 。 今大会では、日本人選手初となる冬季五輪4大会連続メダル、そして連覇に挑みます。直前の大会での怪我も報じられましたが、彼の持つ精神力と、誰よりも高く飛ぶ圧倒的なエアは、依然として世界最高峰です。彼の代名詞である「高さ」は、観客の度肝を抜くことでしょう 。

戸塚 優斗 (Yuto Totsuka)

  • 年齢: 24歳
  • 出身: 神奈川県
  • オリンピック歴: 3大会連続
  • プロフィールと見どころ: 「マシンのように正確」と称される技術の塊です。北京五輪では本来の実力を出し切れず涙を飲みましたが、その後のX Gamesやワールドカップでは、スイッチ(逆足)スタンスから繰り出す高難度技を武器に優勝を重ねてきました 。 彼のアドバンテージは、左右どちらの壁でも、レギュラー・スイッチを問わず同じ高さとクオリティで技を出せる「両利き」のようなスタイルです。この技術により、他の選手には真似できない独創的なライン取りが可能となります。リベンジに燃える今大会、金メダル候補の筆頭です。

平野 流佳 (Ruka Hirano)

  • 年齢: 23歳
  • 出身: 大阪府
  • オリンピック歴: 2大会連続
  • プロフィールと見どころ: 平野歩夢選手とは血縁関係はありませんが、同じ「平野」姓を持つ世界トップライダーです。彼の魅力は、技術的な完成度の高さと、スタイリッシュなエアにあります。特に「クリオ(スイッチバックサイド)」方向の技のキレ味は世界一とも評され、完璧に決まった時のスコア爆発力は計り知れません 。北京での経験を糧に、精神的にも大きく成長した姿を見せてくれるはずです。

山田 琉聖 (Ryusei Yamada)

  • 年齢: 19歳
  • 出身: 北海道
  • オリンピック歴: 初出場
  • プロフィールと見どころ: 次世代のエースとして急速に台頭してきた19歳。先輩たちに追いつけ追い越せとばかりに高難度技を習得し、ワールドカップでも表彰台争いに加わる実力をつけました 。若さゆえの勢いと、怖いもの知らずのアグレッシブな滑りが持ち味。オリンピックという大舞台の空気に飲まれず、自分の滑りができれば、メダル獲得のダークホースとなるでしょう。

女子ハーフパイプ日本代表:新時代の女王候補たち

女子チームも世代交代が進み、技術レベルが飛躍的に向上しました。ベテランと若手が融合した強力なチーム構成です。

小野 光希 (Mitsuki Ono)

  • 年齢: 21歳
  • プロフィールと見どころ: 北京五輪以降、世界の女子ハーフパイプシーンを牽引してきた若き女王です。昨シーズンのワールドカップでは種目別優勝(クリスタルグローブ)を達成 。高いエアから繰り出す「キャブ1080(3回転)」や「フロントサイド1080」などの高回転技を武器に、安定して高得点を叩き出します 。 常に笑顔を絶やさない明るいキャラクターですが、競技中の集中力は凄まじく、今大会の金メダル最有力候補の一人です。

冨田 せな (Sena Tomita)

  • 年齢: 26歳
  • プロフィールと見どころ: 前回の北京大会で銅メダルを獲得し、日本女子ハーフパイプ界に初のメダルをもたらした功労者です 。その後、怪我や休養期間を経て復帰しましたが、大舞台での戦い方を熟知している経験値はチームにとって大きな武器です。安定感のある滑りと、ここ一番での勝負強さで、2大会連続の表彰台を目指します。

工藤 璃星 (Rise Kudo)

  • 年齢: 16歳
  • プロフィールと見どころ: 彗星のごとく現れた高校生ライダー。近年のワールドカップでは、優勝した小野選手に肉薄するハイスコアを叩き出すなど、その成長曲線は垂直上昇中です 。16歳という若さは、かつての平野歩夢選手がソチ五輪で世界を驚かせた時と重なります。世界を驚かせる「ニュースター誕生」の瞬間に立ち会えるかもしれません。

清水 さら (Sara Shimizu)

  • 年齢: 16歳
  • プロフィールと見どころ: 工藤選手と共にチーム最年少の16歳。15歳で出場した2023年の世界選手権で銀メダルを獲得するという快挙を成し遂げています 。大舞台でも物怖じしない強心臓と、スムーズなライディングスタイルが持ち味。次世代を担う逸材のオリンピックデビューに注目です。

4.4 立ちはだかる世界のライバル(ハーフパイプ)

  • スコッティ・ジェームス (Scotty James) [オーストラリア]: 平野歩夢の長年のライバルであり、赤いミトングローブがトレードマーク。「スイッチ・マックツイスト」などの独自技に加え、遂にトリプルコークも習得し、北京での銀メダルの雪辱と王座奪還に燃えています 。
  • クロエ・キム (Chloe Kim) [アメリカ]: 女子ハーフパイプの絶対女王。オリンピック2連覇中。怪我によるブランクもありましたが、彼女が万全の状態で戻ってくれば、その構成難易度と高さは依然として他を圧倒しています 。
  • チェ・ガオン (Choi Gaon) [韓国]: 10代の新星。クロエ・キムの後継者とも目される天才少女で、X Gamesを史上最年少で制するなど、小野光希や工藤璃星との激しい世代闘争が予想されます 。

ビッグエア&スロープスタイル:異次元の空中戦

競技解説:回転数の限界へ

この2種目は「フリースタイル」の極致であり、基本的に同じ選手が両方の種目に出場することが多い「兄弟種目」です。

ビッグエア (Big Air)

  • ルール: 巨大なジャンプ台(キッカー)を1つ飛び、その滞空時間の中で繰り出す技の難易度、着地の美しさ、スタイルを競います。予選は2本、決勝は3本飛び、異なる方向の回転技を含む「良い2本の合計点」で順位が決まります 。
  • 見どころ: まさに「一発勝負」の緊張感。リヴィニョの50m級ジャンプ台から放たれる大技は圧巻です。現在の男子の優勝ラインは「1980(5回転半)」や「2160(6回転)」、さらには「2340(6回転半)」という、人間の身体能力の限界を超えた領域に達しています 。女子も「トリプルコーク(縦3回転)」がメダルの条件となりつつあります。

スロープスタイル (Slopestyle)

  • ルール: ジャンプ台(キッカー)だけでなく、レールやボックスなどの障害物(ジブアイテム)が設置されたコースを滑り降り、全体の流れ(フロー)と各セクションでの技を総合的に評価します。
  • 採点方式: 以前の「オーバーオールインプレッション(全体印象点)」から、近年は「セクションごとの採点(60%)+全体印象(40%)」といった、より細分化された採点方式(セクション・バイ・セクション)が採用されることが多くなっています 。これにより、一つのミスも許されない厳密さが求められます。

男子スロープスタイル/ビッグエア日本代表:世界をリードする「エア・マスター」たち

男子チームは、世界最高難度の技を持つ若きサムライたちが揃いました。

長谷川 帝勝 (Taiga Hasegawa)

  • 年齢: 20歳
  • オリンピック歴: 初出場
  • プロフィールと見どころ: 世界で初めて、全4方向(フロントサイド、バックサイド、スイッチフロント、スイッチバック)からの「1980(5回転半)」を成功させた、まさに「回転の申し子」です 。X Gamesや世界選手権での優勝経験もあり、特にビッグエアでの金メダル獲得が大いに期待されます。彼の武器は、超高回転でも軸がぶれない美しい空中姿勢と、着地の安定感です。

荻原 大翔 (Hiroto Ogiwara)

  • 年齢: 20歳
  • 出身: 茨城県牛久市
  • オリンピック歴: 初出場
  • プロフィールと見どころ: 世界で初めて競技会で「バックサイド2160(6回転)」を成功させ、さらにその上の「2340(6回転半)」への挑戦も噂される超絶技巧の持ち主です 。幼少期から天才少年として名を馳せ、その才能が順調に開花しました。リヴィニョの巨大ジャンプ台は、彼のビッグトリックにとって最高のキャンバスとなるでしょう。

木俣 椋真 (Ryoma Kimata)

  • 年齢: 23歳
  • オリンピック歴: 初出場
  • プロフィールと見どころ: 2025年世界選手権ビッグエア王者 。長谷川選手、荻原選手と共に、日本男子の「ビッグエア三本の矢」の一角を担います。派手な大技だけでなく、スノーボード本来のカッコよさやスタイルを追求する滑りが魅力で、玄人ファンからの支持も厚い実力者です。

木村 葵来 (Kira Kimura)

  • 年齢: 21歳
  • 出身: 岡山県
  • オリンピック歴: 初出場
  • プロフィールと見どころ: 2024シーズンのワールドカップ種目別王者(クリスタルグローブ)に輝いた実力者 。スロープスタイルとビッグエアの両方で高いレベルを維持しており、特にジブセクションでの独創的なライン取りと、スムーズなスタイルが持ち味です。

女子スロープスタイル/ビッグエア日本代表:歴史を変える挑戦者たち

女子も世界をリードする存在です。特に村瀬選手の技は、女子スノーボードの歴史を塗り替えるレベルにあります。

村瀬 心椛 (Kokomo Murase)

  • 年齢: 21歳
  • オリンピック歴: 2大会連続(北京2022銅)
  • プロフィールと見どころ: 女子スノーボード界の若きカリスマ。北京五輪での銅メダル獲得後も進化を続け、最近では女子選手として史上初めて「バックサイド・トリプルコーク1620(縦3回転横4回転半)」を成功させ、世界に衝撃を与えました 。この技をオリンピックの舞台で決めることができれば、金メダルは確実と言われています。ビッグエアでの爆発力に加え、スロープスタイルでの総合力も向上しています。

岩渕 麗楽 (Reira Iwabuchi)

  • 年齢: 24歳
  • オリンピック歴: 3大会連続
  • プロフィールと見どころ:「ここぞ」という場面での勝負強さが光る選手。北京五輪ビッグエア決勝で見せたトリプルコークへの果敢な挑戦は、世界中のライダーから称賛されました。経験豊富な彼女は、スロープスタイルでのコース攻略や天候への対応力にも優れており、2種目でのメダル獲得が期待されます。

深田 茉莉 (Mari Fukada)

  • 年齢: 19歳
  • オリンピック歴: 初出場
  • プロフィールと見どころ: 2022年に彗星のごとく現れ、ワールドカップデビュー戦でいきなり優勝を果たしたシンデレラガール 。高い身体能力を生かしたダイナミックなジャンプが魅力で、成長著しい若手ライダーです。

鈴木 萌々 (Momo Suzuki)

  • 年齢: 18歳
  • オリンピック歴: 初出場
  • プロフィールと見どころ: ジュニア時代から世界で活躍する逸材。スロープスタイルでのジブ(レール技)の巧みさと、ビッグエアでの高回転技を併せ持ちます。初出場のオリンピックで旋風を巻き起こす可能性があります 。

世界のライバル(SS/BA)

  • スー・イーミン (Su Yiming) [中国]: 北京五輪ビッグエア金メダリスト。日本人コーチ(佐藤康弘氏)の指導の下で急成長した彼は、今や日本の最大の壁です。「1980」を完璧に操り、ホームに近い環境での試合運びも熟知しています 。
  • ゾイ・サドウスキー=シノット (Zoi Sadowski-Synnott) [ニュージーランド]: 北京五輪スロープスタイル金メダリスト。オールラウンダーであり、どんなコースコンディションでも完璧な滑りを見せる「鉄人」です。スロープスタイルでは彼女が最大の壁となるでしょう 。
  • アンナ・ガッサー (Anna Gasser) [オーストリア]: ビッグエア五輪2連覇中の女王。34歳を迎えますが、その進化は止まらず、3連覇を狙っています。精神的な強さと経験値は他の追随を許しません 。

アルペン(パラレル大回転):雪上のF1レース

競技解説:0.01秒を削り出す極限のバトル

アルペン競技(パラレル大回転、PGS)は、2人の選手が並行するコース(赤と青の旗門)を同時に滑り降り、どちらが速くゴールするかを競う、単純明快かつスリリングなレースです。

  • ルール: 予選は1人ずつ滑るタイムトライアル形式で行われ、上位16名が決勝トーナメントに進みます。決勝は1対1のノックダウン方式。わずか0.01秒差で勝敗が決することも珍しくありません 。
  • 見どころ: 最高時速70kmを超えるスピードの中での、旗門ギリギリを攻めるカービングターン。相手との駆け引きや、スタートダッシュの反応速度が勝負を分けます。

日本代表選手:若き女王とレジェンドの共演

三木 つばき (Tsubaki Miki)

  • 年齢: 22歳
  • オリンピック歴: 2大会連続
  • プロフィールと見どころ: 「アルペン界の至宝」。2023年世界選手権で金メダルを獲得し、昨シーズンはワールドカップ総合優勝を達成するなど、若くして世界の頂点に立ちました 。 彼女の武器は、爆発的な加速力と、どんな荒れた斜面状況にも対応できる卓越したテクニックです。北京では9位と悔しい思いをしましたが、今回は堂々の金メダル候補筆頭として臨みます。「雪上の格闘技」とも言われるアルペンで、日本女子初の金メダルを目指します。

竹内 智香 (Tomoka Takeuchi)

  • 年齢: 42歳
  • オリンピック歴: 7大会連続(2014ソチ銀)
  • プロフィールと見どころ:「レジェンド」という言葉がこれほど似合う選手はいません。7大会連続出場は、日本人女性アスリートとして最多記録となります。42歳となった今も世界のトップレベルを維持し、自身の経験をチームに還元しながら、再びの表彰台を目指します。彼女の滑りは、まさに「継続は力なり」を体現するものです。

斯波 正樹 (Masaki Shiba)

  • 年齢: 39歳
  • オリンピック歴: 2大会連続
  • プロフィールと見どころ:男子チームを支えるベテラン。長いキャリアの中で培ったレース運びの巧さと、ここ一番での勝負強さが武器です。

世界のライバル(アルペン)

  • エステル・レデツカ (Ester Ledecka) [チェコ]: 平昌五輪でスキーとスノーボードの両方で金メダルを獲得した「二刀流の女王」。今大会でも両競技に出場予定で、スノーボードでは無敵の強さを誇ります。彼女を倒すことが、金メダルへの絶対条件となります 。
  • ラモナ・ホフマイスター (Ramona Hofmeister) [ドイツ]: 三木つばきとクリスタルグローブを争う強力なライバル。ドイツ仕込みの精密機械のような安定感が持ち味です 。

スノーボードクロス:接触必至のサバイバルレース

7.1 競技解説

4人の選手が同時にスタートし、バンク(カーブ)、ジャンプ、ロールなどの障害物が設置されたコースを滑り降り、上位2名が次のラウンドへ勝ち上がるレースです。接触転倒が頻発する激しい展開から「雪上のモトクロス」「雪上の格闘技」と呼ばれます。

7.2 日本代表と現状について

今回の日本代表内定者リスト(2026年1月発表時点)において、残念ながらスノーボードクロス(SBX)の選手名は含まれていませんでした 。 北京五輪に出場した高原宜希選手などがワールドカップで健闘していましたが(2025/26シーズンも参戦中)、今大会は出場枠の獲得要件や、派遣基準を満たす選手がいなかった可能性があります。日本勢の不在は寂しいですが、競技自体の面白さは折り紙付きです。

7.3 世界の注目選手

  • ミケラ・モイオリ (Michela Moioli) [イタリア]: 地元イタリアの英雄。2018年平昌金メダリストであり、ホームの大声援を受けて王座奪還を狙います 。
  • シャーロット・バンクス (Charlotte Bankes) [イギリス]: 現世界王者。圧倒的なスピードとフィジカルの強さで他を寄せ付けません 。

放送・配信情報:日本での観戦ガイド

ミラノ・コルティナ2026の熱戦は、日本国内でもテレビ放送やインターネット配信で楽しむことができます。

  • テレビ放送: NHK(総合・Eテレ・BS)および民放各局で主要種目の生中継が予定されています。特にメダルが期待されるスノーボード種目は、プライムタイムでの録画放送やハイライトだけでなく、深夜・早朝の生中継枠も組まれる見込みです 。
  • ネット配信: NHKプラスやTVerでの同時配信・見逃し配信が行われるほか、gorin.jpなどのオリンピック公式動画サイトでも全競技のライブストリーミングが提供される可能性があります。

観戦のヒント:

時差(-8時間)があるため、決勝種目の多くは日本時間の深夜3時~5時頃に行われます。リアルタイムで応援する場合は、事前の仮眠や翌日のスケジュール調整をお忘れなく!


ミラノ・コルティナ2026を楽しむために

ミラノ・コルティナ2026のスノーボード競技は、日本にとって「メダルラッシュ」が最も期待できる、まさに大会の「華」となる競技です。

  1. ハーフパイプ: 平野歩夢選手をはじめとする男子チームの表彰台独占、そして女子チーム悲願の金メダル。
  2. ビッグエア/スロープスタイル: 長谷川帝勝選手や村瀬心椛選手らが見せる、人類の限界に挑む「新技」の応酬。
  3. アルペン: 若き女王・三木つばき選手と、レジェンド・竹内智香選手の挑戦。

リヴィニョの雪上で繰り広げられるドラマは、間違いなく私たちの心を熱くしてくれるでしょう。選手の息遣い、雪を削る音、そして大歓声。そのすべてを、テレビ画面を通じて、あるいは現地で、全身で感じてください。

頑張れ、SNOW JAPAN!

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この記事を書いた人

snowmasterのアバター snowmaster スノーサーチ編集長

スキー歴45年、物心ついたころからスキーを始め、基礎スキー・競技スキーなどを経て、日本国内の素晴らしいスキー場をより多くの人たちに楽しんでもらえるように、1999年よりスノーサーチ(SNOWSEARCH)サイトを運営し今に至る。スノーレジャーを楽しみながら、スキー・スノーボードの普及啓蒙活動に力を入れている、スノーサーチの編集長です。

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