伝説の幕開けまで、あとわずか
2026年、冬。世界中の視線がイタリア・ドロミテの山々に注がれています。
いよいよ開幕するミラノ・コルティナダンペッツォ冬季オリンピック。中でも、日本の「お家芸」としてメダルの期待がかかるカーリング。その舞台となるのが、伝説の会場「コルティナ・オリンピックスタジアム(Stadio Olimpico del Ghiaccio)」です。
ここは、1956年の冬季五輪で使用された歴史的遺産であり、今回の大会のために美しくリノベーションされた「過去と未来が交差する場所」なのです。
この記事では、現地取材の経験を持つ筆者が、テレビ中継では映らない会場の深い歴史、建築的な見どころ、そして「ドロミテの真珠」と呼ばれる現地の魅力までを徹底解説します。これを知れば、ストーンが滑る一瞬一瞬が、よりドラマチックに見えてくるはずです。
1. 「コルティナ・オリンピックスタジアム」とは? 70年の時を超える聖地
1956年のレガシー(遺産)
正式名称は「スタディオ・オリンピコ・デル・ギアッチョ(Stadio Olimpico del Ghiaccio)」。直訳すると「氷のオリンピックスタジアム」です。
この会場の最大の特徴は、1956年コルティナダンペッツォ五輪の開会式会場だったという点です。
- 当時の姿: 当時は屋根のないオープンエアのスタジアムでした。ドロミテの岩山を背景に、自然光の中で行われた開会式は、五輪史に残る美しい光景として語り継がれています。
- ジェームズ・ボンドの舞台: 実は映画『007 ユア・アイズ・オンリー』(1981年)のロケ地としても知られています。
2026年、最新鋭のアリーナへ
今回のオリンピック・パラリンピックのために、歴史的な外観や観客席の構造を残しつつ、最新の設備へと大規模な改修が行われました。
| 項目 | 詳細 |
| 収容人数 | 約5,000人~7,000人(設定により変動) |
| 実施競技 | カーリング、車いすカーリング |
| 特徴 | バリアフリー化の徹底、最新の製氷システム、照明設備のLED化 |
💡 筆者の視点:ここがエモい!
テレビ中継で会場が映ったら、観客席の「木製のベンチ」や独特のアーチ構造に注目してください。最新のアリーナにはない、ヨーロッパの歴史を感じさせる温かみと重厚感が、カーリングの頭脳戦をより崇高なものに見せてくれます。
2. カーリング選手を悩ませる?「魔物」の正体
カーリングは「氷上のチェス」と呼ばれますが、この会場には特有の「クセ」が存在する可能性があります。
標高1,200mの影響
コルティナ・ダンペッツォは標高約1,224mに位置しています。平地の会場に比べて空気が薄く、気圧が低い環境です。
- ストーンの曲がり方: 空気の抵抗がわずかに変わるため、ストーンの滑り(ウェイト)や曲がり幅(カール)に微妙な変化が生じる可能性があります。
- アイスメーカーの腕: 世界最高峰のアイスメーカー(製氷技師)たちが調整を行いますが、外気温や湿度の変化を受けやすい歴史的建造物内での調整は至難の業です。
この「読み」の早さが、日本代表の勝敗を分ける鍵になるでしょう。
3. 現地情報:「ドロミテの真珠」コルティナの魅力
もし、あなたが将来この地を訪れるなら、あるいは映像で街並みを楽しむなら、以下のポイントは見逃せません。

圧倒的な景観美
会場の外に出れば、そこは世界自然遺産ドロミテ(Dolomites)の絶景です。
切り立った岩山が夕日でバラ色に染まる「エンロサディラ(Enrosadira)」という現象は、一生に一度は見たい絶景です。
富裕層が集うリゾート
コルティナは、イタリア国内でも屈指の高級リゾート地。

- コルソ・イタリア(Corso Italia): 街のメインストリート。高級ブティックやカフェが立ち並び、エスプレッソを飲みながらの散策が最高です。
- 美食: ヴェネト州の食文化と山岳料理が融合。「カースンツィエイ(ビーツが入ったラビオリ)」は必食の郷土料理です。
なぜ「再利用」が評価されるのか?
近年のオリンピックは「サステナビリティ(持続可能性)」が最重要テーマです。新しく巨大な箱物を作るのではなく、1956年のレガシーを改修して使うこのスタジアムは、IOC(国際オリンピック委員会)が目指す未来のモデルケースと言えます。
「古いものを大切に使い続ける」。このイタリア人の美学が詰まった会場で、最先端の戦略が必要なカーリングが行われる。このコントラストこそが、今回の最大の見どころなのです。
日本代表へのエールを、歴史ある氷上へ
まもなく始まる熱戦。コルティナ・オリンピックスタジアムについて知っておくべきポイントを振り返ります。
- 歴史の証人: 1956年五輪の開会式会場が、70年の時を経てカーリング会場として復活。
- 建築美: 歴史的な木造スタンドなどの意匠と、最新バリアフリー設備の融合。
- 環境: 標高1,200mの高地特有の氷の変化が、勝負の鍵を握る。
- サステナビリティ: 既存施設を活用した、環境配慮型オリンピックの象徴。
カーリングは開会式前、2月4日より放送開始
カーリングは開会式の前の2026年2月4日より、混合ダブルス(ミックスダブルス)の1次リーグが始まります。日本は2025年12月に行われたオリンピック世界最終予選で小穴桃里・青木豪ペアが出場をかけた試合に臨むも予選リーグ敗退となりオリンピック出場を果たすことはできませんでした。
日本が出場するカーリング競技
日本は女子4人制にフォルティウスが出場を決めています。男子4人制ではSC軽井沢倶楽部が最終予選で惜しくも出場を逃しているため、女子チームのみの参加です。
カーリング女子の1次リーグ第1試合は2月12日(木)から行われ、日本チームはスウェーデンと対戦します。
テレビの前で、あるいは現地で。
この「伝説のスタジアム」で繰り広げられる一投一投に、ぜひ注目してください。日本代表のストーンが、歴史あるコルティナの氷上で美しい軌跡を描くことを願って。

